「何も意識しない」を意識しましょう

スイングの習熟度とパフォーマンス(プレーのスコア)が比例しないことをレッスンの現場ではよく目にします。一般的にも、スイングが良くなればスコアも自然と良くなる、と思う人が多いです。スコアが悪いのはスイングが安定してないからだと思い込むケースがあります。

もちろんその場合もあると思います。しかしスイングに大きな欠陥が見当たらないのにコースにでると突如プレーが乱れるといった背景には、スイングのチェックポイントが多すぎることが挙げられそうです。

・成功体験が上達を阻むようになる

ゴルフを始めて、レッスンでアドバイスされたことや雑誌、またはレッスン動画を参考にスイングを修正することで上達してきた経験をもっている人がほとんどだと思います。私も両親や兄弟の影響を受け、地元のプロゴルファーや指導者が開くレッスン会、雑誌などを参考にゴルフスイングをつくってきました。スイングのコツ(ここにバックスイングを上げると良い当たりがする..など)を掴んで上達していく経験を積みました。

しかし、ある一定のレベル(私の場合スコアが80)からなかなか上達しなくなりました。上達しないどころかむしろ後退したり、ゴルフが難しくなってしまうようになりました。とくに課題になっていたのは、スイングは良くなっている(安定している)のにも関わらずコースにいくとボールが左右に曲がったり、トップダフリなどミスの確率が練習よりも格段に上がってしまうことでスコアが悪化してしまうことでした。こうした経験は多くの方が感じていると思います。

・何も意識しない練習をしなければ乗り越えることができない

スイングの習熟度とパフォーマンスが比例しないためには、過剰な意識を抑える必要があります。私たちはスイングで何かを意識することで成功するという体験を積んできました。それゆえ、何かを意識しないではいられない状態になっている可能性があります。その先入観で固まっているがゆえ、ある一定のラインから上達することが難しくなり、苦しんでいるゴルファーをみることがあります。こうした傾向は繊細の性格だったり、几帳面、真面目な性格な方ほどみられます。

上級者ほど「何も意識しない練習」が必要だと私は考えています。私は高校生の頃からアプローチショットする際にイップス気味で長い間悩んでました。ですが、「何も意識しない練習」をすることで大きな改善がみられました。またロングゲームやパッティングにおいても同様にパフォーマンスが増すようになりました。普段も調子が悪いときほど必要以上に無駄な意識をしていることに気づきます。

・ゴルフにおけるパラドックスを理解することが上達の鍵

ゴルフには不思議とパラドックス(逆説)が存在します。

有名なアマチュアゴルファーである中部銀次郎氏は「下手を固める練習」の必要性を問いています。練習というと上手になることが目的のように思いますが、あえてこういった表現をされているのは興味深いです。練習することによってゴルフクラブをコントロールできるようになり、だんだんと「器用」なります。しかし、この器用さが不必要な動きを招き、また過剰な意識につながります。中部氏の言う「下手を固める練習」というのは、実力以上のショット(確率の低いショット)をしないという意味でもありますが、無駄な動きや意識をしないことがゴルフにおいて大切だというお話だと考えられます。

「インナーゲーム」で有名なティモシー・ガルウェイ氏は、著書「インナーゴルフ」においてTrying too hardという表現で「頑張り過ぎ」がプレーの邪魔になっていることを述べています。高いパフォーマンスを発揮するには、「頑張り過ぎる意識」を抑えることが必要と考えているようです。

マット・クーチャーやジャスティン・ローズといったツアー選手の勝利をサポートしたスポーツ心理学者のジオ・ヴァリアンテ氏は「フローゴルフへの道」で「勝者の言葉には矛盾(パラドックス)を含んだ表現がある、逆説的な表現を理解することこそ、フローに入る心を作り上げるために非常に重要だ」と述べてます。

ショートゲームの指導で定評のあるデイブ・ストックトン氏は「無意識のパッディング」で鉛筆で自分の名前を書くようにストロークするだけだと、彼も無駄な意識をすることを避けるような指導を行なっていることが特徴です。

・私たちが練習で目標にしてるのはラウンドでのスイングの自動化

運動学習においては、「認知→連合→自動化」の段階を経てスキルの獲得がされると言われています。つまりスキルの獲得においては自動化が最終的な目標ですから何かを意識してスイングしている時点ですでに自動化のスキルが達成されないのです。

スイングの習熟度とパフォーマンス(プレーのスコア)が比例しないと感じる方は、スイングのチェックポイントが多くなり過ぎることが原因と考えられます。パフォーマンスが上がらず、ゴルフが楽しくなくなっている方はぜひ勇気を出して「何も意識しない」を意識して練習を進めてみてください。

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